ベトナムの社会と文化―日本人と異なる価値観
1.ベトナムという国とその人々の気質
1-1 ベトナムという国
文化 独自の文化+中国文化の強い影響+フランス文化(80年間の植民地時
代)例:食文化
➡日本と比較
政治 封建→社会主義→社会主義志向市場経済の時代➡人々の考え方の変化
社会 人口の約8割が農民→強固なムラ社会(Phép vua thua lệ làng=王
の法律も村の垣根まで)
「公」と「私」観念→プライバシーの概念(ホームステイをするとき。
物の貸し借りをするとき等)
上位下達の組織の仕組み、組織の中での労働意識、責任の所在
宗教 儒教、道教、仏教、キリスト教➡日本と比較
儒教の影響が強い→長幼の序を重視
1-2 人々の気質
54民族 (キン族が多数で人口の86%を占める)
主に三つの地域に分けられる(北部、中部、南部)→それぞれの地域の
人々が違う気質を持っている
→北部のキン族の気質と生活習慣に焦点を当てる
★北部のキン族の気質
勤勉でまじめである→南部の人々からみればかなり固い
忍耐力が強い→ベトナム戦争
向学心、向上心が強い←学歴社会
団結精神(困難の時)
「情」、「人情」を大事にする→「理」、「理屈」より重んじる→物事を
解決するとき、まず「合情」をし、その後「合理」をはかる。冗談好き
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褒められたい、批判されたくない。特に自己批判しない。
人の立場より自分のことを優先しがちである。
完璧主義を目指す人が少ない(何事も適当に済まそうとする傾向が強い
→Ăn sổi ở thìあるいはxuề xòaという)
→まねるのが早いが、腕を磨き、自分で探求するのを怠ける→
職人の専門性が低い
→日本人の「こだわり」、「工夫」と比較
ルールを守りたがらない→実際の交通事情
2.ベトナムと日本の異なる価値観
2-1 人間関係
◎ 人と接する時の礼儀
礼儀を重んじる(Tiên học lễ, hậu học văn =先学礼、後学文)相手を軽く見てはいけない→軽く見られると分かったら仲間に入れてくれない宴会(食べ物)より挨拶(Lời chào cao hơn mâm
cỗ)→人に会うたびに必ず声をかけて挨拶する→様々な挨拶しかた(こんにちは、お元気ですか、どこに行くの、ご飯を作りましたか、今日何を買い物したの、ご飯を食べましたか….)→相手のこと、御家族の事情を聞くことによっていつも相手のことに関心をもっている気持ちをあらわす
年長者を敬い、子どもを大事にする(Kính già yêu trẻ)→ベトナムの「Bà」と日本の「ばあちゃん」を比較受けた恩は何だかの形できちんと返す
◎人間関係の重要性とその築き
「情」を重視→人との付き合い、「縁」を大事にする親族関係が強い→Có họ (親族関係がある。同じ苗字をもっている)と言えば、関係が一層親密になる→コネ社会
プライベートなことを打ち明けられるほど親密な関係を築く(酒を飲み、食事をともにし、自宅を訪問するなど)受け入れられるための振る舞い、心構え→男性の場合と女性の場合が違う。特に農村社会では男尊女卑という考え方がまだ強いため、女性に対するタブーが多い。相手が何かあるときに真心で一所懸命助けてあげる (Tương
thân tương ái=相親相愛)
◎相手のプライドを傷つけない
ベトナム人に受け入れられやすい言い方、やり方(提案や注意の際)→相手を尊重する上で行動する→相手の体面をつぶすのは禁物!言っても良いことと悪いこと(ベトナム人の言われたいこと、言われたくないこと)→相手と自分の立場、周りの状況をきちんと考えた上で発言→相手の気持ちをよくさせ、耳を傾けてもらうように言葉を選ぶ(Lời nói chẳng
mất tiền mua. Lựa lời mà nói cho vừa lòng nhau)→「礼」と「情」をもっ「理」を通す
2-2 文化・習慣
◎紙文化
計画書や報告書が重視される(実施されるかは別)行政機関の官僚的対応(解決するまで時間と書類作成の手間がかかる)→ルールがあるような、ないような状況→理屈で物事を通すというより人間関係が重要である→日々の付き合い
◎直前まで決まらない。すぐに予定と計画を変更する
日本人ほど慎重さがない→物事をする前に計画を細かに立てたがらない→「xu ề xòa」気質→細かい作業が苦手計画性がない→その時その時対応する(Nước đến chân mới nhảy
=水(洪水などの水)が足まで上がったらジャンプする→足まで上がらない限り対応策を考えなくも良い)→臨時応変→柔軟性が大事
◎お金の取り扱い
ケチと思われたら嫌われる「おごる」文化→割り勘はしない。特に自分がさそった場合は気を付ける→割り勘を求めたらケチと思われる「チップ」文化→南部ほどではないが、一応ある。都会と農村地帯は差があるが、お釣りは何千ドン程度ならきつく求めないほうが良い。
◎冠婚葬祭のマナー
結婚式 呼ばれたら行ったほうが良い(お祝いは物よりお金のほうが良い)。服装は華やかなものが良い。
葬式、知ったら御香典をもって見舞いしたほうが良い。行けない場合、御香典を封筒に入れ、行く人に託する服装は日本ほどではないか、黒いほうが良い。
法事、呼ばれたら親しい関係を築けたという印→行ったほうが良い。村の場合、果物とお線香を持っていけば良いのである。服装は地味なものが良い。