フエの日本酒工場

中部ベトナムフエに日本の九州から進出したフエ唯一の日本企業、日本酒、焼酎を生産する会社がある。フエ市内からタクシーで15分、トウドウック帝廟の近くに近代的な工場Hue Foods Company Limited(4/114 Le Ngo Cat, Hue City Vietnam)が見えてくる。周囲の農家の環境と異なりこの工場の一画は日本の会社の様子そのままで従業員70名のベトナム人を抱え統括しているのは京都の 杜氏(とうじ)関谷聡さん。 杜氏(とうじ)とは、日本酒の醸造工程を行う職人集団、すなわち蔵人の監督者で あり、なおかつ酒蔵の最高製造責任者を言う。お酒に馴染む軟水を求めて何度もボーリングし決めたのがこの地。事務所には日本式社訓が日本語とベトナム語で書かれ日本式経営を実施している。応対するベトナム人従業員の挨拶も気持ちがよい。 ベトナム人向けには焼酎のバラエテイを増やし純米日本酒”越の一えつのはじめ”もアルミパックを使用せず瓶に拘る。 以下は関谷さんの説明による抜粋です。

                  清酒製造工程(1-14)

 

    1玄米  2精米  3浸漬  4蒸し  5製麹  6酵母 7仕込み 

                     (酵母+水)添、仲、留(三段仕込み)4,5,6を仕込みへ

    8上槽  9濾過  10火入  11貯酒  12調合  13濾過  14詰口

 

日本酒、焼酎造りの工程は玄米精米(磨き)から始まる。(除く芋焼酎)200種類ものベトナム米から厳選(焼酎は契約農家からシロイモを仕入れる)。精米の場合お酒は50時間かけて50%まで磨きをかけ50%は糠として残る。焼酎の場合は20時間で精米は終わるという。

 

次は米の洗い(浸漬)、蒸し工程となる。焼酎の場合は温度100度で蒸留するがお酒の場合の温度40度でプレス(搾り)という難しい作業があるという。ベトナム米はでんぷん質が少ないため米が折れやすい。そのためお米を2度蒸しにする作業が増える。

 

発酵前にお米を洗い蒸す工程がありその後(製麹)麹を添えるが麹菌はすべて日本から持ち込みお酒の場合は黄色麹、焼酎の場合は白、黒麹を使用する。蒸し米を麹に浸す工程は24時間必要とし温度、湿度を一定(布団使用)に保ち徐々に酵母を浸透させる、ベトナムは湿気が多いのでクーラーで除湿する。この工程では酵母菌の方が強いので雑菌は入らないという説明でした。 

仕込み、発酵は大事な工程で24時間3交代勤務し温度、湿度を管理し、特に夜中の変化には気を使うという。8台の大きな発酵タンクに6トンもの原料が入る。8本のドラムの設定はすべて異なる。発酵が終わるとお酒は絞って、残りが酒カスとなるがカビが発生しやすいのでエアコンで冷やしている。大吟醸はすべて手作業でしずくを取りその量も少ない。焼酎は3トンの三段蒸留窯2台と2トンの窯1台で蒸留する。発酵工程でお酒は1ケ月間13-15度の低い温度で発酵させ味の深みを出すバランスが難しくこれをベトナム人に教えるのが難しいという。昔は桶をかき回すのが、各々条件が違い、掻き回す時間管理をするために、歌いながら、何番まで歌うと言って時間管理をした。焼酎の発酵については20-25度を維持し2週間で発酵工程は終わる。焼酎の場合は温度100度で蒸留するがお酒の場合は40度でプレス(搾り)という難しい作業があるという。麹の投入はすべて手作業で行う。

貯蔵工程 完成後、日本酒の場合は長く保存できないので瓶詰め工程へと進む。焼酎の場合は大きなタンクに貯蔵するがその前にチャコール(炭)とフィルターを使って、不純物を除く、最後は0.25ミクロンのフィルターを使っての濾過で99.8%までの完成度を目指す。

 

 ボトリング工程 焼酎のペットボトルはリサイクル使用せずすべて新品で一日3万本を商品化する。ボトリング工程ですべて機械化されている。 

 

以上が簡単なお酒、焼酎の製造から梱包までの工程となりますがすべて人の手で処理するなかで困難なのは完成品というのはないというのが現実であると関谷さんは述べておられました。近隣の東南アジアへの輸出も増えているがベトナム人に圧倒的な支持を得ているのは焼酎という。 

(越の一)関連ニュース 日テレニュース http://www.news24.jp/articles/2010/10/27/10169422.html

                                          NHK地球ラジオ http://www.youtube.com/watch?v=4mBeyfe3uXg

王宮太和殿
王宮太和殿
フォンニャ洞窟
フォンニャ洞窟
ホイアン日本橋
ホイアン日本橋
ミーソン遺跡
ミーソン遺跡